井上雄彦氏が描かれた「承」は、
自然、歴史や先人たちから“承ったもの”を
絵やスケッチに描き下ろした作品を一冊にまとめられたものです。

さらに言うのならば、
古来より繰り返されてきた伊勢神宮の「遷宮」
という営みに秘められた「承ったもの」、
あるいは文化・技術・伝統の「伝承」「継承」という
日本人の根底に流れる「承の心」を形にされたものが
「承」そのものです。

その「承」であるが故に、表具の伝統を受け継ぎ、
継承していこうと活動している我々、表粋会に表装して欲しいと
の依頼がありました。

作品としての「承」は、巾約180㎝、丈約22㎝の墨絵です。
井上氏の意思を汲み、表現を引き立てつつ
若い感性を生かすように心掛け表装していきました。
そうして完成した額は、一般公開のために
全国の神社、東京大神宮、大宰府天満宮などで巡回展示されたのちに
巻物に仕立て直し、2013年(平成25年)の第62回伊勢神宮式年遷宮に
合わせて奉納されました。

井上雄彦氏は、知る人ぞ知る著名な漫画家です。
その代名詞ともいえる作品に「スラムダンク」「バガボンド」
などがあります。