1996年(平成8年)、表具の発展と継承者育成、技術向上を目指して、熱意ある若手を中心に発足した表粋会。
2006年(平成18年)からは、隔年で作品展を開催しておりました。
その7回目にあたり、また表粋会20周年とも重なることから、記念行事として特別な開催になるよう企画しましたのが「掛軸と絵画の未来展」の始まりでした。

現代では和室、床の間の減少、それに伴い掛軸の衰退、掛軸と共に培われた軸絵の技法さえ忘れられつつある今、東洋の伝統的な形態である掛軸は、巻くことのできる世界でも類を見ない絵画であり、利便性の点からも未来に残すべき文化であると考えます。また個人が美術品を所有し鑑賞する文化そのものの衰退を危惧して、若い画家に参加して頂き掛軸を一つの表現方法として加えてほしいとの願いから、開催にいたりました。

第1回未来展では、「若い日本画家の発掘」「掛軸文化の可能性」「表装技術の伝承」を三本柱とし、女子美術大学、多摩美術大学、東京藝術大学、東京造形大学、武蔵野美術大学、横浜美術大学より30名参加いただきました。

「掛軸と絵画のミライ展」~美大生×表具師による軸装の可能性~
開催期間:2018年(平成30年)6月19日~6月24日
会場:田中八重洲画廊

学生を交えたことにより、来場者の増加、各方面からご好評を頂きました。
私たちも画家との打合せができたり、その後の交流があったりと特別な作品展となりました。
開催後、各方面から大きな反響があり、その多くが一回限りの企画にするのではなく、継続的に開催し、掛軸文化のさらなる振興の礎とするべき、というご意見でした。そのような声に支えられ、2 回目となる「掛軸と絵画の未来展」を企画致しました。

第二回未来展は、前回のコンセプトの三本柱を継承しつつ、女子美術大学、多摩美術大学、東京藝術大学、東京造形大学、武蔵野美術大学より34名の学生に参加いただきました。
「一般財団法人 世界紙文化遺産支援財団 紙守」様より基底材として、精良な紙(純楮和紙、中国宣紙)をご提供頂き、参加学生へ支給して作品を描いていただきました。

「第二回 掛軸と絵画の未来展」~美大生と表具師 紙文化を未来につなぐ~
開催期間:2020年 (令和2年)11月24日~11月29日
会場:田中八重洲画廊

第二回未来展では、コロナ対策を行った上で、学生方にも積極的に運営に参加して頂き、ポスターやチラシのデザインをはじめ、会期中の在廊やダイレクトメールの袋詰め等、様々なご協力をいただきました。
共に作り上げることにより、達成感や充実感を共有して、より良い未来展となるよう目指しました。

また、開催前に新聞をはじめ、各メディアにも取り上げて頂き、さらに「オンライン座談会」の様子をYouTubeにアップして、参加学生と表具師の思いや考えをお伝えする、新たな試みにもチャレンジしました。
結果、コロナ禍での開催にかかわらず、多くの方にご来場いただくことができました。