近年掛軸の需要が減り表具師の数も激減しています。原因として絵画や墨蹟を飾り愛でる風習が失われつつあることが考えられます。古くより掛軸という形態で鑑賞されてきた絵画は生活様式が西洋化し床の間が無くなった事で必要とされなくなりました。
その後、絵画は西洋画の影響を受けて軸絵から額絵と変化し、鑑賞形態は額装中心になりましたが、今日では額絵が飾られる事も減少しています。しかしながら東洋の伝統的な形態である掛軸は巻く事の出来る世界でも類を見ない絵画であり、利便性の上からも未来に残すべき文化であると考えています。
昨今、掛軸製作における伝統技法は伝承が難しく、その対策が急務となっております。この技法を後世に残すには、先人の技術を受け継いだ上で新しい試みをして進化し続ける事こそ重要です。これからも掛軸が広く世間に所望され表具師が活躍できることを切望しています。