4月最初の表粋会は、巻子修復の勉強会と、未来展に向けての掛軸仕立て作業でした。
巻子修復は、巻子を構成する各パーツが分離され、それぞれの裏打紙が剥がされて、
裂だけ、紙だけの状態に戻されていく工程の作業でした。
普段の表具作業ではなかなか目にすることの出来ない内容もあり、会員一同とても良い勉強になりました。
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未来展に向けての掛軸仕立て作業は、本紙・裂の増裏打がされていました。
本紙や裂の裏打ちは、最初の裏打ちが肌裏(はだうら)打ち、2回目の裏打ちを増裏(ましうら)打ちと呼びます。
それぞれの裏打ちによって糊の濃さも様々に変える必要があります。
増裏打ちの場合、水に溶かしてサラサラにした糊を使用します。あまり薄すぎると後々、浮いたり剥がれたりしますが、逆に濃すぎると掛軸が硬くなり、巻いたときに折れたりする原因となります。そのため、ちゃんと接着しつつ、かつ柔らかく仕上がるギリギリの濃度の糊を経験と勘で導き出す必要があるのです。
増裏打ちの接着は、糊だけではなく、刷毛にも特徴があります。
裏打紙を置いて、刷毛で撫ぜたあと、打ち刷毛と呼ばれる刷毛で叩いていきます。
こうすることで、肌裏紙と増裏紙の繊維が絡み合い、薄い糊でも強固に接着することができるのです。
この打ち刷毛作業、トントントントンと、乾いた大きな音がします。
表粋会では、会場(職業能力開発センター板橋校)の都合上、通常はドアを閉め切って、他教室にご迷惑がかからないようにしているのですが、今はコロナ対策で部屋を密室にすることはできません。
そこで、板の下に布を敷き、極力音が出ないように配慮して作業をしました。
コロナ禍の打ち刷毛。これが思い出話になる日が一日でも早く訪れることを願っています。
引き続き、今月後半にも表粋会の作業日がありますので、また進捗のご報告をします。ご期待ください。
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