古糊作り

一年で最も寒い時期とされる「大寒」の頃に

表具業界では欠かせない作業があります。

それが、「古糊の水換え」です。

古糊は、掛軸を制作する際に行う「増裏打」や、

「上裏打」に使用する糊です。

大寒の頃に炊いた糊を甕に入れ、水を張って封をし、

冷暗所で一年寝かし、また大寒の頃に蓋を開けます。

表面を覆うカビを取り除き、また水を張って封をし、

一年寝かす…。

(この作り方は、表具師・お店によって様々ですので、あくまで一例とお考え下さい。)

この工程を10年ほど繰り返すと、

糊の量は最初の半分以下に減りますが、

それ以上新たなカビが生えなくなります。

これで古糊の完成です。

古糊は、新糊に比べて、接着力が弱いため、

仕立て直しをする際に、裏打紙が剥がしやすいという利点があります。

また、乾くと硬くなる新糊に対し、

古糊は柔らかく仕上げることができます。

さて、そんな古糊の水換えの報告をしようと思います。

2018年に作った糊で、今回の水換えが4回目になります。

寝かせていた甕を取り出し、蓋を開けます。

匂いはあまりしません。

表面の白い部分がカビです。

これを取り除き、水を捨て、糊の表面をきれいにします。

きれいになりました。

再び水を張り、蓋をして和紙で封をしました。

また一年後、どんなカビが生えているのか、今から楽しみです。

今年は、表粋会で2年に一度行っている「糊炊き会」が

ある年です。

また改めてそちらのご報告もしますので、

どうぞお楽しみに。

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