ゴールデンウィーク最終日の5月8日、5月最初の表粋会の活動日でした。
まずは、前々回に続き、巻子修復の勉強会。
本紙と周囲の裂を繋ぎ、上裏(あげうら)と呼ばれる、
最終段階の裏打ちまでの工程です。
上裏のために、まずは糊の準備。
糊の粒子を細かくし、不純物が混じらないようにするため、
糊を漉します。
使っている道具は水嚢(すいのう)と言います。
その漉した糊を水で薄めます。
巻子や掛軸は巻いた状態で保管しますが、
固い糊・濃い糊で仕立てると、全体が強張ってしまい、
拡げた時に巻き癖がついていたり、折れてしまったりという
不具合が生じます。
そのため、上裏に使用する糊は、水を多く加え、
接着力をぎりぎりまで弱めて、
しなやかな仕上がりにすることが求められます。
巻子修復もいよいよ大詰め、また次回の報告をお待ちください。
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他に今回の表粋会では、
「第3回 掛軸と絵画の未来展」に出展する作品の
仕上げ作業も行われました。
白い塊は「イボタ蝋」と言われるものです。
「イボタ」の木に寄生する「カイガラムシ」が分泌する液を精製した
天然の蝋です。
掛軸の仕立て作業の際、
上裏が終わった掛軸の裏面にこのイボタ蝋を塗布し、
数珠で撫でる作業「裏擦り」を行います。
裏擦りをすることで、掛軸の背面に艶が出たり、
滑らかになると共に、蝋のワックスによって
防湿効果も生まれます。
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この他、屏風の縁打ち作業なども行われていました。
6月の東京表具経師内装文化協会主催の「第65回表装・内装作品展」
8月の掛軸と絵画の未来展、
に向けて、各自の作業も大詰めを迎えつつあります。
今月後半の表粋会の活動報告もどうぞご期待ください。
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